前回のエッセイ、犬を欲しがる小学生の子供の想いの続きです。
小学生の時、犬が欲しかった僕は、両親に何度も何度も犬を飼ってくれるようにお願いした。
一度や二度ではない。
本当に大げさな話ではなく、何百回とお願いしたと思う。
テストで100点取るから飼ってくれといったこともある。(100点なんてとったことないが)
その甲斐あって、僕が小学校5年生だったか、6年生だったか、もう、昔のことなので覚えていないけども、我が家にも犬を飼うことが決まった。
ペットショップに犬を見に行った
今でこそ犬に対する知識もあり、どんな犬種が良いかということも検討がつくけど、はじめて犬を飼うときはそういう状況じゃなかった。
犬種なんて殆ど知らないし、今ほどのペットブームでもなかったので、犬は外で飼うものというイメージが強かった時代だった。
うちは集合住宅なので外で飼うことはできないかったんだけど、ベランダで飼うことも検討していたように思える。
僕は犬が飼えるのなら、犬種はなんだってよかった。
だけど、強いていうなら、知り合いが飼っていたビーグル犬が大人しくて賢かったので、ビーグル犬が欲しいと、漠然と考えていた。
当時、小学校の同じクラスでは柴犬が流行っていたけど、僕の両親は、和犬よりも洋犬のほうが好きみたいだった。
僕は和犬であれ、洋犬であれ、どっちでも良くって、犬が飼えることがただただ嬉しかった。
父親の車に乗せられて、近所のペットショップに、片っ端から見に行った。
当時、流行していた犬は、
- シーズー
- マルチーズ
- ポメラニアン
- 柴犬
- シェットランド・シープドッグ
といった犬種だったと思う。
どの犬も可愛かったけど、特にポメラニアンが可愛かった。
家族のみんなも、かわいいなーって口をそろえて言っていた。
本当にこのポメラニアンを迎え入れようとほぼ決まるところまでいってたと思う。
でも、うちが飼うことになった犬は、ポメラニアンじゃなかった。
ポメラニアンに不満があったわけじゃない。
でも飼うことにはならなかった。
ポメラニアンに足りなかったのは、縁だったんだろうなと、今になって思う。
そう。どこの家庭でもそうだけど、飼うことになる犬、飼われることになる犬って、その家で飼われる運命を持って生まれてくるんだと思う。
抱っこさせてもらって、すっごく可愛くて、「この犬いいから飼う方向で検討します」って店員にまでいったんだけど、結局飼うことにならなかった。
縁がなかったんだ。
出会いは運命。ちょっとしたきっかけで出会う
いくつかのペットショップを周って、すごく可愛いポメラニアンに目星を付けた。
もういい加減見て回るのも疲れていたし、あのポメラニアン以上に可愛い犬にである可能性なんてないと思っていた。
でも、近所にまだいくつかペットショップがあったので、念の為に全部周っておこうということになって、最後に辿り着いたお店。
今まで周った店より小さなお店だった。
そこには、うちにやってくる運命を持った子犬が売られていた。
当時はまだ珍しかった、メスのロングヘアードのミニチュア・ダックスフンド。
(上記の写真のダックスフンドは私の飼っていたダックスフンドではありません。もうずっと昔に寿命で死んでしまったので写真がありません。でも色といい、雰囲気といいそっくりです)
ダックスフンドっていうと、スタンダードでスムースヘアーだというイメージしかなかったんだけど、ロングヘアードのミニチュア・ダックスフンドは当時持っていたダックスフンドのイメージを完全に破壊した。
もう、可愛くて可愛くて。
そのお店ではブラックとミニチュアダックスと、レッドのミニチュアダックスが売られていた。
店員がいうには、姉妹犬だとのこと。
黒い子もレッドの子も、どっちも抱っこさせてもらった。
僕が気に入ったのはレッドの子だった。
ブラックの子も可愛かったけど、レッドの方の可愛さといったら、例えようがないくらいに可愛いと感じた。
本当に、運命ってあるもんだなぁと思った。
今まで見てきた犬も、どれも素晴らしかった。
最初はなんとなく漠然と、ビーグルを探していたけど、シーズーの子犬の愛らしさを知り、シェルティーも抱っこして、ポメラニアンでほぼ決まりかけていた。
今まで様々な店舗で見てきて、あれもいい、これもいいっていってた犬の存在が一気に吹き飛んでしまうくらいの衝撃が、このダックスフンドにはあった。
ケージを覗いたら千切れんばかりに尻尾を振ってきて、抱っこをしたら顔をぺろぺろしてきて。
他の店舗で見た他の犬種たちも多分、同じように尻尾を振って、ぺろぺろ攻撃を仕掛けてきたんだと思うけど、そんな思いが完全に色褪せるくらい、この犬がいいって直感で感じた。
僕以外の家族の意見も同じだった。
- ダックスフンドってこんなにかわいい犬だったんだな
- もう、この子に決めよう
- はやく決めないと売れてしまう
店員にはその場で、飼う方向で検討しますと伝え、家でじっくり話し合うことになった。
検討するとはいっても、もう、家族の意見は完全に一致していた。
この子にしようと。
犬の名前はエミリーに決定
今でも覚えているのが、両親が犬をお店に取りに行ったのが土曜日だってことだ。
当時、小学校は土曜日も休みではなく、昼まで授業があった。
関西に住んでいる人ならお馴染みだと思うけど、土曜日は授業が終わったら家に帰って、家で昼ごはんを食べながら吉本新喜劇を見るというのがお決まりのパターンだった。
当時の僕は、授業が終わって急いでに家に帰ったはずだ。
家に帰ると小さな小さな、茶色いミニチュア・ダックスフンドの子犬が、赤い小さなケージに入って眠っていた。
当時、季節は冬で、犬が風邪を引いてしまわないように、ケージの中には電気毛布が敷かれていた。
父親が、「犬は新しい環境にまだ慣れていないからそっとしておくように」と僕に言った。
当時の僕は、一秒でも早く犬が触りたくて走って帰ってきたのに、ひどい仕打ちだと思ったはずだ。
犬が自分で起きてくるまで、触るのは我慢した。
犬を飼ったら名前を付けないといけない。
素敵な名前をつけてあげたいけど、さて、どんな名前がいいのか。
犬に付いてきた血統書の名前をみてみると、登録名がemily of jumping coco jpと書かれていた。
ちなみに、2015年の6月現在、「ジャンピング ココ JP」で検索してみたところ、和歌山にある狆のブリーダーという情報が載っていた。和歌山と兵庫は地理的にもさほど遠くはないし、当時はミニチュアダックスも繁殖させていたのかもしれない。
そこの頭に付いているエミリーという名前を付けることに決定した。
名前を決めた直後は、「エミリー」という名前が瞬時にでてこなくて、ご近所さんに「名前は?」って聞かれたときに「メアリー」とか間違ってた記憶がある。
すぐに慣れたけれども。
なにはともあれ、僕ははじめて犬が飼えることになった。
僕も家族も、犬を飼うのははじめてだったので、半ば行き当たりばったりで犬を育てはじめた。
今みたいにペットの番組もやっていなかったし、しつけのビデオ(当時はDVDなんてなかった)もなかったし、インターネットももちろんないので調べることもできなかった。
はじめて飼う犬だったから、しつけや飼い方の失敗も多かった。
もちろん、間違った知識で間違った飼い方をしたけど、我が家にとっては大事な犬で、死んでしまうその瞬間まで可愛がったことに間違いはない。
次回のエッセイでは、エミリーを飼い始めてからやらかしてしまった失敗談を色々と語っていこうと思う。
はじめて犬を飼う人の参考になれば幸いです。
次回のエッセイは子供が犬を飼う際に世話をすると約束したのに世話をしないです。
決して世話をすると嘘をついていたわけではありませんが、実際にあまり世話をしなくなった失敗談になります。