家から遠く離れた場所で飼い主と離れ離れになってしまった犬が、後日、遠く離れた自宅まで、道を知らないはずの犬が帰還するお話を聞いたことがありませんか?
実際に何百、何千キロもの距離を旅して、自分の家に帰ってくることに成功した犬もたくさん存在しています。
犬が遠くはなれた場所から、家へ帰り着くことができる習性を、帰巣本能(きそうほんのう)といいます。
見知らぬ土地から家へ帰り着く帰巣本能
犬が見知らぬ土地で飼い主からはぐれて迷子になってしまっても、犬には帰巣本能が備わっているため、家に戻ってくるといわれています。
実際に何千キロも離れた土地から、何ヶ月も掛け、無事に家にたどり着いた犬もたくさんいますので、自分の家の位置を判断する何らかの能力を持っているのは間違いなさそうです。
ただし、どんな犬でも帰巣本能を持っていて、正しく家に帰還できるわけではありません。
日本中で迷子の犬が保護され、保健所や動物愛護施設、動物病院などの施設に届けられています。
帰巣本能で家に帰り着くことができる犬は特別なのではないか
帰巣本能を持っていて、無事に家に帰りつける犬は、特別なセンスをもっていた犬だと考えるといいでしょう。
私が子どもの頃に飼っていたミニチュア・ダックスフンドが家を飛び出していって迷子になったことがありました。
結局、集合住宅の階段の最上階まで登って行って、戻るという選択肢をとらずに、階段の最上階で立ち尽くしていました。
散歩中に出会う、犬の飼い主さんの間で、時折、迷子の犬の話を聞くことがありますが、迷子になって帰巣本能を利用して家まで帰ってきた事例は、聞いたことがありません。
迷子になってしまい、血眼になって探しているという状況のほうが、圧倒的に多いのです。
ひょっとすると野生の犬はごく当たり前に帰巣本能をもっているが、現代の家庭犬は帰巣本能が薄れており、上手に利用できないのかもしれません。
帰巣本能のメカニズム
犬には帰巣本能が備わっている事はわかっていますが、そのメカニズムに関してはよくわかっていません。
いくら犬の嗅覚が優れているからといって、何百キロという距離を匂いを嗅ぎなら帰ってくることは不可能です。
優れた方向感覚を持っていることは確かでしょう。
犬はうんちをする際に、ぐるぐるとその辺りを周り、何故か、南北方向に向いて排便することからも、地磁気を利用している可能性が考えられます。
また、Google Earthで撮影された衛星写真を調べたところ、牛や鹿の大半は、食事や休憩の時に南北を向いているそうです。
動物が地磁気で方向に関する何らかの情報を得ている可能性は高そうに思えます。
昔は広い範囲で群れをなして生活していたので、仲間とはぐれてしまっても無事に合流できるような能力を持ちあわせていると考えるのが自然なのかもしれません。
迷子の対策はしっかりと行う
(画像クリックで迷子札の商品詳細ページに移動)
犬が帰巣本能をもっているとはいっても、現在の日本に生きる家庭犬たちの大半は、家へ無事に帰り着く能力までは持っていません。
ですので、まず迷子にならないようすることを再優先させましょう。
何かに熱中すると飼い主のことが視界に入らなくなる犬の場合、見知らぬ土地でリードを外す行為は大変危険です。
普段から通い慣れた場所ならば、再び合流する事は容易ですが、始めての場所で迷子になってしまうと、なかなか合流が難しくなります。
首輪に迷子札をつける
ですので、そういう万一に備えて、首輪には名前や電話番号、住所を書いた迷子札を付けておきましょう。
迷子になった犬が警察や保健所、動物病院、または親切な人が保護してくれた場合、そのプレートの連絡先に連絡してくれる可能性が高まります。
マイクロチップを埋め込む
迷子札が首輪に付いた状態で迷子になるとは限りません。
首輪を外した状態で迷子になることや、迷子札自体をどこかに引っ掛けてしまい紛失する可能性も考えられます。
そのような場合に身元を確認する最後の手段としてマイクロチップの埋め込みが有効です。
マイクロチップとは、直径2mm、長さ8〜12mmのカプセル状の極めて小さな器具で、その中に15桁の番号が記録されています。
特殊なリーダーで読み込むと、カプセルの中に記憶された15桁の番号を読み取ることができます。
その15桁の番号を、データベースで照合すると、犬の素性がわかるという仕組みです。
このマイクロチップを読み込むリーダーは、保健所や動物病院に設置されています。
犬が保健所に連れて行かれたとしても、マイクロチップで飼い主の連絡先がわかるため、殺処分になることを防ぐことができるといわけです。
ちなみに、マイクロチップはGPSではありませんので、犬がどこにいるかを調べることはできません。
あくまでも連絡先と紐付けられた15桁の数字が記録されているだけです。