犬は散歩中に他の犬と出会うと、まずはお尻のにおいを嗅ぎあいます。
それはまだ良いのですが、犬だけではなく、家に来た人間の股間までクンクンしてしまい、恥ずかしい思いをしてしまう飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
この記事では犬が人間の股間のにおいを嗅ぐ理由を解説いたします。
いきなり股間を嗅がれた
犬を飼ったことがある人ならともかく、犬を飼った経験がない人にとって、いきなり犬に自分の股間をクンクンと嗅がれたらびっくりしてしまいます。
人間からすれば、あまりいい気分ではないというか、ちょっと恥ずかしいような気もする行為なのですが、犬にとって股間のにおいを嗅ぐ行為は、初めましての挨拶です。
犬同士が出会った時、お互いが相手のお尻や性器のあたりに顔を近づけ、クンクンとにおいを嗅ぎ合います。
なぜおしりを匂うのかといえば、犬の肛門付近には肛門嚢(こうもんのう)という嚢があり、そこから、その犬の情報が詰まった肛門腺という分泌物が出るからです。
肛門腺のにおいは、犬にとっての名刺のような役割だと考えるといいでしょう。
このにおいを元に、犬の色んな情報を記憶していくわけです。
ちなみに、においを嗅ぎ会うときに堂々と自分の肛門のにおいを嗅がせる犬は強い犬で、自分に対して自信を持っています。
逆に尻尾をおろして肛門を隠してしまう犬は、自分に自信が無い弱い犬です。
つまり、犬ははじめて出たったその瞬間から、どちらの立場が上かという犬同士のランク付けをしているわけです。
犬は縦型社会で暮らす動物なので、順位付け行動を重要としているからです。
股間を嗅ぐのは習性ではあるが
犬が股間を嗅ぐのは、股間が臭いからでもいい匂いがするからでもなく、犬の習性によるものです。
ただし、人間の股間を匂うのは、順位付け行動ではなく、その人のにおいを覚えようとしているのです。
人間の股間をにおう行為も、当たり前に行われている犬の習性なのです。
とはいっても、股間を嗅がれることをいい気はしないと感じる人も少なくないこともまた事実です。
犬にとっても最も重要な情報収集が嗅覚なわけですから、においを嗅ぐ行為に関して、なんでもかんでもやめさせようとしてもうまくいかないでしょう。
一つの手は、「犬は股間をクンクンと嗅ぐことがありますが、犬流の挨拶なのですよ」と説明して理解してもらうことです。
しかし、相手によってはそのような失礼な行為をしてもらいたくない場合もあります。
そういう場合は、飼い主が普段から犬に、人間に対する挨拶は股間を嗅ぐ必要ないということをトレーニングで教え込む必要があります。
トレーニングでやめさせるには
トレーニングで股間をくんくんと嗅ぐ行為を止めさせます。
ただし、股間を嗅ぐ行為は習性ですので、叱って止めさせようとしてはいけません。
他の代替案を教えて、股間を嗅がなくてもいいようにコントロールします。
まず、股間を嗅ぎにやってきた犬のあごや脇腹をなでて、犬の気を逸らせます。
相手に悪意がないことが理解できれば、むやみに股間のにおいを嗅ごうとはしなくなるはずです。
そして、自分の手や足を差し出し、股間ではなく、手や足に置き換えてにおいの情報を収集してもらいます。
それがうまく行ったらうんと褒めてあげるようにすれば、来訪者の手のにおいを嗅ぐだけでも十分に満足するようになります。