乾性角結膜炎(ドライアイ)とは目が乾いてしまったことにより角膜と結膜に炎症を生じた状態のことをいいます。
このページでは犬の乾性角結膜炎(ドライアイ)について解説します。
当ページの内容はあくまでも参考として捉えて下さい。
決して当ページの内容だけで素人判断はせず、異常が見られる場合には、速やかに獣医師に相談してください。
症状
何らかの要因により、涙液(涙)の分泌量が少なくなってしまったことにより、眼の表面が乾いてしまうと、目の汚れや異物、細菌などを洗い流すことができなくなり、角膜や結膜に炎症が起こります。
初期の症状ではまぶたの異常や、角膜の腫れといった、結膜炎や角膜炎と似たような症状がでて、まばたきの回数が増加します。
この状態が長く続くと角膜は濁ってきて透明度を失い、更に悪化してしまうと、角膜が黒ずんだり、結膜からは黄色のひどい目やにが大量に出てきます。
そして、角膜に穴が開いたり、まぶたがくっついてしまうような症状があらわれます。
原因
パソコンなどで目を使う事が多い人にはお馴染みの眼の疾患にドライアイがあります。
人間のドライアイは、パソコンを使い続ける際にまばたきの回数が低下し、目が乾燥してしまう症状のことをいいます。
しかし、犬はパソコンを使うわけでもありませんし、しょっちゅうまばたきも行っています。
犬のドライアイは人間のドライアイとは発生のメカニズムが全く異なります。
主な原因は涙腺の先天的な欠如や、老化などによる涙腺の萎縮です。
涙腺の機能障害には、ウィルス感染などの感染症、外傷、ホルモン欠乏、全身性疾患によるものなどさまざまな要因があり、また、原因不明の場合も多い疾患です。
掛かりやすい犬種
- アメリカン・コッカースパニエル
- イングリッシュ・コッカースパニエル
- ウエストハイランド・ホワイト・テリア
- シー・ズー
- パグ
- ブルドッグ
- ペキニーズ
- ミニチュア・シュナウザー
- ヨークシャー・テリア
- ラサアプソ
上記の犬種は乾性角結膜炎になりやすい犬種として知られています。
眼球が大きく、飛び出している犬種は、眼球の表面積が多いために涙が蒸発しやすいため、ドライアになる可能性が高まります。
他には遺伝的な要因が疑われている犬種も含まれています。
治療
- 涙の分泌を促進する薬の投与
- 人工涙液の点眼
- 軟膏を塗る
- 手術
角膜と結膜を保護するために人工涙液の点眼、軟膏を塗る、涙の分泌を人工的に促進する薬の投与などの治療をおこないます。
目薬の投与で角膜と結膜の乾燥を防ぎますが、目薬は目が乾くたびに行う必要があり、あくまでも一時しのぎです。
点眼剤や薬、軟膏などでも改善されず、症状が進行してしまう場合には、外科手術を行うこともあります。
予防方法
犬の目に毛やまつげが入っている場合には取り除いてあげます。
断続的に異常が出る場合には、動物病院で診断してもらいましょう。
目を気にして引っかないようにする対策
すでに乾性角結膜炎になっており、犬がしきりに目を気にして掻いてしまう行為の防止策としては、エリザベスカラーの装着があげられます。
犬は違和感を覚えている部位をどうしても前足で掻いてしまいがちですので、悪化させないためにもエリザベスカラーはオススメです。