犬の脱毛には、季節の変わり目に起こる生理的なもの(換毛)と、病気が原因で毛が抜ける脱毛症があります。
このページでは犬の脱毛症(抜け毛)についての症状、原因、治療方法、予防方法を解説いたします。
ただし、あくまでも参考として捉えてください。
決して当ページの内容だけで素人判断はせず、問題がありそうな場合は速やかに獣医師に相談してください。
今回の記事の目次
症状
脱毛には季節の変わり目に抜ける生理的現象である換毛と、病的な抜け毛にわけられます。
季節の変わり目の換毛期に始まる抜け毛は、正常な抜け毛です。
大量に抜けて、掃除が大変になったり、抜けすぎてスカスカに見えることもありますが、異常ではありません。
病的なものとしては、部分的脱毛や体全体に及ぶ脱毛があります。
地肌が見え、皮膚の色が赤や黒に変色したり、悪臭や痒みも併発します。
ただし、内分泌障害が原因の脱毛では、かゆみが伴わないこともあります。
原因
内分泌障害やアレルギー、寄生虫や細菌、真菌の感染など様々な原因が考えられます。
脱毛と関わりが深い病気
- クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
副腎皮質ホルモンの異常分泌で起こる病気で、左右対称の脱毛、毛艶が悪化、皮膚への色素沈着、皮膚が薄くなるといった症状が見られます。
脱毛は頭と尻尾以外の怪我薄くなったり完全に失われます。 - 甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの異常によって起こる病気です。基礎代謝が低下するために皮膚は乾燥して黒くなり、毛艶が悪くなったり、毛が左右対称に脱毛していきます。 - 睾丸腫瘍(セルトリー細胞腫)
腫瘍化した細胞から女性ホルモンが多く分泌されることにより症状が出ます。左右対称の全身的な脱毛や、太腿付近の色素沈着、オスなのに乳房が大きくなるといったメス化などの症状が見られます。 - 眼瞼炎
目の周りの毛が脱毛し、赤く腫れます。炎症が進行すると湿疹ができて、化膿することもあります。 - 毛包虫症(アカルス)
生後2ヶ月〜9ヶ月くらいの子犬によくみられる病気です。口や目の目の周りに赤みがかかった脱毛が見られます。脱毛の範囲はじょじょに広がり、ニキビのような嚢胞(のうほう)ができて、皮膚はただれてきます。 - 脂漏症
脂漏症とは皮膚がべとついたりかさついたりする皮膚の疾患です。皮膚の新陳代謝が異常に早くなったことにより、ふけや皮脂が多くなる病気です。強いかゆみが出て、かきむしることもあり、脱毛も見られます。 - アレルギー性皮膚炎
アレルギーにより皮膚炎になり、体が痒くなります。痒くなった患部をかきむしることによって、脱毛を起こしたり、皮膚が更にただれたり、かさぶたができたりします。 - 皮膚疥癬(かいせん)
犬の皮膚にイヌセンコウヒゼンダニというとても小さなダニが皮膚に寄生して起こる病気です。最初は赤い発疹が出る程度なのですが、犬がかゆそうにしている程度では気が付かないことが多く、患部の脱毛が進行してきて始めて気づきます。 - 真菌症・白癬
カビの一種である真菌が皮膚に感染して起こる、伝染性の皮膚病です。初期にはフケが出て皮膚が赤くただれるようになり、かさぶたができたり、徐々に脱毛が進行します。症状が進行するにつれ円形の脱毛範囲は広がっていってただれた箇所も大きくなりますが、犬自体は痒がらないことが多いようです。
治療
脱毛の原因を突き止め、取り除くことによって治療します。
例えば感染症由来の脱毛の場合、感染源の治療を行うことにより、2〜3週間も経てば元の状態に近づきますし、ホルモン系の異常による脱毛の場合は、長期に渡る治療が必要になるでしょう。
感染症で起こる脱毛は、感染源を突き止め、取り除くことで治癒します。
動物病院での診断に従って、治療することが重要です。
予防方法
脱毛症には様々な原因が考えられるため、全ての脱毛症に対して有効な予防方法は存在しません。
原因となることが考えられるアレルゲン(アレルギー物質)を避ける、寄生虫や細菌への感染を防ぐといった、個別の対策を行うことになります。