犬は大好きな飼い主が帰ってきたら、あまりに嬉しくなって顔をぺろぺろとなめます。
さっきまでお尻の穴をぺろぺろとなめていた口で顔をなめるのですから、人間の感覚ですと嫌だと感じるのも当然です。
この記事では犬が顔をなめる理由を解説いたします。
愛情表現のひとつ
犬は人間の言葉が喋れませんので、嬉しい・好きといった気持ちを体で表現してきます。
あまりにも気持ちが高まるといてもたってもいられなくなり、千切れんばかりに尻尾を振り、激しく飛び上がって飼い主に抱きつき、顔を舐めようとします。
上記の例のように、犬が飼い主の顔をなめるのは、犬特有の愛情表現なのです。
別に飼い主の顔がおいしいからなめているわけではないのです。
(とはいえ、飼い主が美味しいものを食べた後にソースなどをつけていると、舐めようとすることもありますが)
顔をなめ回したくなるほどに、「嬉しい」「好きだ」という意味なのです。
犬の舌は綺麗
しかし、飼い主が潔癖症の方の場合、犬の舌は不潔なものだと思っているでしょう。
犬は自分の体の気になる部分を舌で舐めます。
特に肛門部分をなめることも多いです。
犬がおしりの肛門付近をなめる理由は、体を清潔にしておきたいという行為です。
また、犬にとっての口は、人間にとっての手のようなものですので、色んな物をくわえたりもします。
犬の唾液はpHがアルカリ性で人間の唾液よりも殺菌力が高いので、人間が思っている以上に清潔なものです。
ですので、顔や手を舐められてもなんの害もありません。
その後に手を洗ってしまえばいいだけなのです。
強く叱ったりはしないであげましょう
とはいっても、いくら「嬉しい」「好きだ」という愛情表現とはわかっていても、お尻の穴を舐めた直後に顔を舐められたら、ちょっと、いい気分はしません。
しかし。そんな時に大声で叱ったり、露骨に犬を拒否しないでください。
犬には一切の悪気はありませんので、喜んでいること自体を否定されていると考え、混乱してしまうのです。
今まで飼い主が顔を舐められることを喜んでいたのに、お尻を舐めたあとは拒否するようだとなおさらです。
どうしてもその時の顔なめが受け入れられない場合は、手を差し出してなめさせるといいでしょう。
犬にとって重要なのは飼い主との繋がりですので、手を舐めさせながらやさしく犬をなでてあげれば、犬は自分の気持が伝わったと納得してリラックスします。
ご機嫌取りの意味もある
顔をなめる行為には、愛情表現の他にも、服従心を現している場合もあります。
飼い主に怒られた時や、飼い主が夫婦げんかをしている時は、犬はとても居心地が悪い状態になっています。
飼い主の怒りが少し収まったかのようにみえると、すぐさま飼い主の元に近寄って、顔をなめてごきげんをとります。
おそらく、「怒らないで〜」というような意味合いがあるのではないかと思います。
また、犬同士の場合は、立場が弱い方の犬が、上の立場の犬の鼻をなめて、服従していることを伝えることがあります。
このことからも、犬が顔を舐めるという行動は、犬が持っている昔からの習性であるということがわかります。
動物由来感染症には注意
犬の舌は清潔なものなので、あまり気にし過ぎは良くないといいましたが、それでも限度はあります。
犬の唾液の中には寄生虫や病原体が含まれている恐れがあるからです。
口移しで餌を与えたり、傷口を犬に舐めさせるのは大変危険です。
犬になめられた後は、石鹸でしっかりと手を洗いましょう。
切り傷や擦り傷などの怪我をしている場合は、犬に舐められないように、気をつけましょう。
犬の舌で手や顔を舐められても、なんの問題もないのですが、傷口や口から病原体に感染する恐れはありますので、そのあたりは注意してください。
顔なめをやめさせたい
犬の顔なめを辞めさせたい場合は、犬が顔を舐めてきた瞬間にそっぽを向いてしまうといいでしょう。
犬にとって、嬉しい気持ちを伝えようとしたのに、飼い主のほうが嬉しそうではなくなるので、犬にとってあまり楽しい行為ではなくなってきます。
顔をなめられそうになったらそっぽを向くということを繰り返しているうちに、顔をなめなくなってくるはずです。
顔なめを我慢したら、おもいっきり褒めてあげましょう。
「この人は顔をなめられたくないんだ」ということを学習します。
ちなみに、顔をなめないようにしつけられた犬に、顔を舐めるようにトレーニングすることも可能です。
私の実家で飼われているミニチュア・シュナウザーは、基本的に人の顔をなめませんが、「ペロペロ」というコマンドで指示を出された時だけ顔を舐めるようにしつけてあります。
なんの役にも立たないコマンドにも思えますが、おやつをあげる時などの芸としてやっているみたいでした。