皮膚疥癬(かいせん)とは、犬の皮膚にイヌセンコウヒゼンダニというとても小さなダニが皮膚に寄生して起こる病気です。
このページでは皮膚疥癬についての症状、原因、治療方法、予防方法を解説いたします。
ただし、あくまでも参考として捉えてください。
決して当ページの内容だけで素人判断はせず、問題がありそうな場合は速やかに獣医師に相談してください。
今回の記事の目次
症状
- 顔
- 耳
- かかと
- 肘
などに発症します。
最初は赤い発疹が出る程度なのですが、犬がかゆそうにしている程度では気が付かないことが多く、患部の脱毛が進行してきて始めて気づきます。
犬にはかなりの痒みがもたらされますので、犬はしきりに患部を掻きむしるため、皮膚が炎症をおこします。
赤黒いかさぶたが見られるようになることが多いのですが、皮膚の炎症はさほどひどくないのに痒みだけが激しい症状の場合もあります。
放置しておくと慢性化して、範囲が体全身に広がることもあります。
皮膚疥癬は、人間や他の動物に感染することもありますので注意が必要です。
原因
イヌセンコウヒゼンダニという小さなダニが皮膚に寄生したことによっておこります。
繁殖力が高く、人やその他の動物にも伝染る、極めて伝染性の高い皮膚炎です。
病気の犬をだっこしただけで人間に感染したり、同じ家で飼っている別の犬や猫に感染することもあります。
イヌセンコウヒゼンダニは、体の表面を歩きまわって生活しているわけではなく、皮膚を食い破って穴を開け、その中に寄生します。
治療
患部の皮膚を採取して顕微鏡で確認すると、イヌセンコウヒゼンダニやその卵を発見することができますが、1回の検査で見つからないこともあります。
かゆそうだからと素人療法でかゆみ止めを塗ると、かえって症状が悪化してしまうことも多いので注意が必要です。
全身の毛を刈り取り、外用薬や注射、薬浴などで治療していきます。
それと同時に抗生物質やかゆみ止めの薬品も投与します。
この治療は完治するまでしっかりと続けることが重要です。
完治していないのに止めてしまうと、また元の状態へと悪化してしまうおそれがあります。
イヌセンコウヒゼンダニを完全に駆除することが大切なのです。
また、一緒に飼育している犬や猫などの他の動物の様子にも気をつけておいて、気になるしぐさなどを見かけた時にはすぐに獣医師に検査を依頼しましょう。
コリー系の犬種は注意
皮膚疥癬の治療にはフィラリア症の治療薬にも使われているイベルメクチンを処方されることもありますが、オーストラリアン・シェパードやラフ・コリー、ボーダー・コリー、シェットランド・シープドッグといったコリー系の犬種はこの薬に対して中毒を引き起こすことがあります。
フィラリアの治療程度の使用量ですと問題ないようですが、皮膚疥癬の治療に使われる使用量はフィラリア治療の50倍以上の使用量となりますので、本当にイベルメクチンを投与すべきなのか獣医師とよく相談して熟考するようにしましょう。
予防方法
皮膚病に掛かっている犬に近づけないことと、被毛や皮膚を常に清潔に保つことがこの病気の予防方法になります。
高い感染力をもっていますので、この病気に掛かっている犬との接触は出来る限り避けましょう。