2016年3月13日に放映された朝日放送のテレビ番組、ペットの王国ワンだランドのレポート記事をお送りします。
前回は広島市の殺処分数をゼロにするために日々頑張っていらっしゃる中谷さんの活動の前編の放送68回目のペットの王国ワンだランドの感想記事をお送りしました。
今回は前回の続きで、後編になります。
それでは、第69回目の放映分のレビューをお送りします。
今回の記事の目次
犬猫の保護活動を行う広島市の中谷さん
広島本部
- 広島県広島市安佐北区可部町今井田690-1
- 082-812-3745
- 082-815-2711
栃木拠点
- 栃木県那須塩原市野間308-1
- 0287-74-5039
- 0287-74-5038
中谷百里さんは広島市の殺処分数をゼロにしてしまわれたのですが、その原動力はどこから来ているのでしょうか。
中谷さんを突き動かす原動力は福島にある
殺処分対象になった動物を全て引き取るようになったきっかけは福島
2011年3月11日に発生した東日本大震災で、飼い主に捨てられたり、やむを得ず置いて行かれた犬を保護するため、震災二日後に被災地に入りました。
行った時には、あまりに悲惨すぎて、来なければ良かったと思ったそうです。
人間でも相当の恐怖を感じたのですから、置いて行かれた犬はもっと心細いはずです。
そんな福島に向かうきっかけとなったのは、今までの後悔だと中谷さんはおっしゃっています。
長年言い訳ばかりしてやってこなかった後悔があったといいます。
阪神淡路大震災の時も行かなかったし、新潟中越地震も行っていない。
阪神淡路大震災では、犬は4335匹。猫5027匹のおよそ1万匹の犬や猫が犠牲にあいました。
災害のニュースを聞くたびに嫌なのに行動できないとおっしゃっています。
中谷さんが東日本大震災で向かったのは、原発20km圏内の危険区域です。
人の生活エリアに誰もおらず、静寂が怖いと感じたそうです。
そこで保護した犬は、福島県内に急遽作った仮の保護スペースに連れて帰ります。
自らの健康被害を顧みない保護活動は2週間にも及びました。
犬は繋がれた状態で飼い主が避難してしまったようで、ガリガリに痩せこけた犬をたくさん保護されました。
原発20キロ圏内が立ち入り禁止になるまでの2週間で1400匹の犬と猫を救出しました。
一方、牛や豚などの大型の家畜は保護することができず、震災から2ヶ月後、原発から20キロ圏内の位家畜は全て殺処分されました。
水や食べ物がなくて死んでしまった、たくさんの犬猫も見てきました。
広島市の管理センターに運び込まれる殺処分対象の犬と猫は全て引き取り、殺処分ゼロの世の中を目指します。
そんな中谷さんの驚くべき行動力。それは震災で救えなかった命への後悔があるからこそです。
中谷さんは震災直後に、栃木県の那須塩原市に新たな施設を作りました。
400坪の敷地を持つここでは福島県で保護された震災犬が100頭、猫が300匹ほど暮らしています。
ただし、この施設は福島のために用意した仮設の施設です。
猫の部屋は冷凍コンテナを利用して作られています。
震災で保護した900頭が、飼い主に変換、もしくは、新たな飼い主に譲渡されました。
中谷さんが保護しなかったら多くの命が失われていたことは想像に難くありません。
被災者とペットを繋ぐ活動
中谷さんは2ヶ月に1回、ある活動を行うために福島県へと向かいます。
中谷さんの全ての活動の傍らにいるのは、犬猫みなしご救援隊の副代表を務める田原愛美田原好己さんです。
中谷さんが全幅の信頼を寄せる相棒です。
そんな田原さんと中谷さんの出会いは、ちょっと意外な場所でした。
30代の頃、スナックのママをしていた中谷さん。田原さんはそのお店の常連客だったそうです。
もちろん、5年前の震災の際にも、田原さんも一緒に福島県で救出活動を行いました。
今回の福島行きでは、広島から1頭の犬を連れてきました。
犬の名前はぽちっこ。
ぽちっこの飼い主は今でも仮設住宅で生活しており、動物を飼うことはできません。
中谷さんは、被災してしまって犬を飼えなくなった人の犬を預かり、飼い主に合わせてあげる活動を行っています。
今回は篠田麻里子さんが、中谷さんの被災者とペットをつなぐ活動に密着します。
ぽちっこと飼い主の再開の時
仮設住宅で暮らす飼い主の菅野さんとの対面です。
ぽちっこは菅野さんのことをしっかり覚えていて、とても嬉しそうにしています。
震災から2ヶ月後、避難命令が出た、福島県飯舘村。
仲良く暮らしてた菅野さんとぽちっこは引き離されました。
あれから5年が経ちましたが、未だに仮設住宅での暮らしです。
菅野さんは2ヶ月に1回のぽちっことの再開を心待ちにしています。
ぽちっこと別れることになった日は今でも覚えているそうです。
我が子よりもかわいがっていたのに手放さなくてはならなくなって、ぽちっこの事を夢にまで見るそうです。
仮設住宅にもよるそうですが、菅野さんの暮らす仮設住宅では犬の飼育は認められていないそうです。
89歳になる菅野さんですが、ぽちっこと一緒に散歩に出かけます。
震災前は、山にも近所にも、どこに行くにもぽちっこがついてきたそうです。
ぽちっこは中谷さんと一緒に広島に戻りますが、菅野さんの元を離れたくないのか、なかなか動こうとしていませんでした。
震災で保護し、無事に飼い主に返すことができた被災犬に再開
次は中谷さんが保護し、無事に飼い主に返すことができた犬に会いにいきます。
震災から5年が経った今でも保護した犬を気にかけています。
今回は中谷さんが一番窮地に追いやられたというゴールデン・レトリーバーがいました。
このゴールデン・レトリーバーは飼い主と離れ離れになったストレスにより、大事件を引き起こしました。
そのゴールデン・レトリーバーが最近病気になったと聞き、中谷さんは会いに行くことにしました。
そのゴールデン・レトリーバーの名はさくら。8歳の女の子です。
さくらは福島県双葉町の橋のあたりで座っているところを、中谷さんに保護されました。
保護されたことによって、さくらは普通の家に連れて帰って貰えると思っていたのでしょうが、実際に連れて帰られたのは犬がたくさん生活する保護スペースでした。
飼い主と離れ離れになったことや、周囲で様々な犬が吠え続けていることに対してのストレスが蓄積していったようです。
保護直後は人懐っこく、しっぽをぶんぶんと振って喜んでいるさくらでしたが、震災により簡易的な施設で何百頭もの犬との共同生活を受けいることができず、精神を病んでしまいました。
そして、恩人であるはずの田原さんに襲いかかり、小指を噛みちぎってしまいました。
篠田麻里子さんの「指を噛まれて恨んではないですか?」という質問に対して、田原さんは、「それはないですね。全く。この子が噛みたくて噛んだんじゃないと思っている」とおっしゃっています。
田原さんは小指を失ってもなお、さくらの面倒を見続けました。
今は無事に飼い主の元に戻り、幸せに暮らしています。
新たな飼い主の元で暮らす被災犬と再開
震災を理由に飼い主から引き取った一匹の犬が、旅館 扇やで暮らしています。
ココは推定17歳の雑種犬です。
原発20キロ圏内で保護されました。
被災犬と人間を繋ぐ手段として、中谷さんは1000頭を超える様々な犬の写真やプロフィールを載せた保護犬リストの冊子を作成し、避難所に持って行き、配って回っていたそうです。
おかげで、ココの飼い主も判明しました。
しかし、震災により元の飼い主が飼育できなくなったため、今では扇やの看板犬として暮らしています。