犬が散歩に行った先で、気持ちよさそうに体を地面に擦り付けたり、糞などの臭いものに体を擦り付けてしまうことがあります。
この行為は気持ちがいいからやっていたり、自分の匂いを変化させるために行っている犬の習性なのです。
このページでは犬が匂い付けのために体を地面にこすりつける習性について詳しく解説いたします。
ゴロゴロ転がると気持ちが良い
犬が芝生の上などでひっくり返ってゴロゴロしている姿を見かけることがあります。
転がることが単純に気持ちいいことであって、行っている場合や、自分の体に他のにおいを付けて、自分のにおいを偽装している場合もあります。
これらは、犬の習性から来ている行為です。
とはいえ、あまり汚い場所で転げ回られると汚れてしまいますし、臭いもののうえで転がられた場合は悪臭もしますので、もう一度洗い直しで手間が掛かります。
臭いものの上で転がる理由
ミミズの死骸や、他の動物の死骸、動物の糞などの上で転がってとんでもない匂いになることがあります。
海へ犬を連れて行った時、犬が砂浜の先に走って行き、気持よく転げまわっていたので指を指して笑っていたら、実は魚の死体の上で匂い付けをしていたようで、洒落にならない悪臭を放ちながら犬がこっちに走ってきたという体験談を聞いたことがあります。
匂い付けの行動は、他の匂いをつけることによって、自分の匂いをごまかそうとしている習性だと考えられています。
野生の時代の犬は、自分で狩りをして生活をしていました。
犬は獲物を捕まえるために優れた嗅覚や聴覚、視覚を持っています。
しかし生き延びるために優れた嗅覚を手に入れたのは、なにも犬だけではありません。
捕食される側の動物も嗅覚を持っています。
敵の匂いを嗅ぎ取れば、すぐに安全な場所まで逃げていきます。
ですので、犬は自分の匂いが獲物にわからないように、動物の糞などの上で転がり匂い付けをして、自分の体臭を消して狩りを行っていたのです。
その匂い付けの習性が現代にも残っているものだと考えられています。
ミミズの匂いは犬にとって香水の匂い?
犬は臭いもののなかでも、特に、ミミズの死骸のにおいが大好きです。
これも、元は自分の体臭を偽装する行為からきているのでしょうが、特に気持ちよさそうにこすりつけることからも、犬にとってこのにおいはたまらないほど素敵なものだということが考えられます。
実際、ミミズに体をこすりつけている時の犬は、恍惚の表情を浮かべています。
猫がマタタビを好むのと同じで、犬はミミズの死体を好むというわけです。
ちなみに、全ての犬がミミズのにおいを好んで匂い付けを行うわけではありません。
私が良くいく散歩コースでであう犬の中では、特にミミズが好きで、すぐにゴロンと転がり匂い付けを始めるミニチュア・ダックスフンドもいれば、私の飼っているボーダー・コリーのように、ミミズに特に興味を示さない犬もいます。
シャンプー直後に転がり回る
犬の匂い付け行動は、シャンプー直後には特によく見られます。
それは、シャンプーで自分の匂いが消えてしまったことが気に入らなかったり、シャンプーの匂いが気に入らなかったりするためです。
私が飼育しているボーダー・コリーも、シャンプーの後は、布団や床でにおいつけを行います。
洗ってドライヤーで乾かしたばかりの犬が、早速床に体をこすりつけているのをみると、「せっかく綺麗に洗ったのに」と思ってしまいますが、犬の習性ですからある程度はしかたありません。
自分の匂いに納得すれば、匂い付け行動を行わなくなります。
臭いものの上で匂いつけ行動を行った場合のシャンプー
犬が動物の死骸や糞の上でにおいつけ行動を行ってしまったら、人間にとっては耐えられないほどの悪臭を放ちますので、綺麗に洗う必要があります。
とはいえ、芝生や何もない砂の上で転がった程度で、いちいち洗いなおす必要はありません。
あまり頻繁に洗い過ぎると、毛艶や皮膚の皮脂が失われてしまい、皮膚や被毛にも良くないからです。
ですので、犬を洗うのは月に1〜2回程度がベストです。
また、犬は自分のにおいに強いこだわりがありますので、洗ってもすぐににおいつけ行動を行い汚してしまいます。
糞や死骸など悪臭源で転がり回った場合や、泥のうえで転がり回った場合はシャンプーのやり直しが必要になりますが、芝生の上で転がった程度で、あまり神経質に洗い過ぎないようにします。
シャンプーを行う際には、しっかりとすすいで、シャンプーが体に残らないようにしましょう。
シャンプーが残っていたり、被毛が乾いていない状態放っておくと、皮膚病の原因になります。